
前回は、相続土地国庫帰属制度の申請手続きについて、事前相談から申請書類の準備、現地調査、承認後の負担金納付までの流れを整理しました。
最終回となる今回は、この制度を利用する前に特に注意しておきたい点をまとめ、土地所有者が事前に確認しておくべきポイントを解説します。
まず最も重要なのは、建物が残っている土地は申請できないという点です。老朽化した空き家や使っていない倉庫などが残る場合は、制度の申請には解体工事が必要になります。また、解体後も周囲との境界が不明確な状態では審査を通過できないため、境界確定を同時に進めるケースも少なくありません。
次に、残置物や廃棄物がある土地は不承認となる可能性が高いため、事前に片付けや処分が必要です。雑草が大きく繁茂している場合や、倒木・破損した構造物が残っている場合も同様で、安全に管理できる状態まで整えることが求められます。
さらに、負担金や申請手数料を含めた費用面の検討も欠かせません。宅地・田畑・森林のいずれも負担金は原則20万円と定められており、複数筆を申請する場合にはその数だけ費用が増えます。制度を利用した場合と、土地をそのまま所有し続けた場合の税負担・管理費を比較し、長期的な判断を行うことが大切です。
最後に、制度はあくまで「国が管理できる土地を引き取る」ための仕組みであり、すべての土地が対象ではありません。不承認となる可能性も踏まえ、早めに法務局へ相談し準備を進めることが安心につながります。
